ico_imgインタビュー:株式会社ハレガケ(東京都豊島区)

謎解き体験をデザインし、人と場所、人と人をつなぐクリエイター集団。

鶴見佑介氏
株式会社ハレガケ プランニングディレクター 鶴見佑介氏

近年、すっかり身近になった「謎解き」。個人の知識やスキルは関係なく、“ひらめき”で楽しめるのが醍醐味です。とりわけ、次々に現れる謎を解くことで物語が展開していく「謎解きゲーム」の普及は目覚ましいものがあります。

 

「お祭りが日常に。」をコンセプトに、謎解きゲームを中心とした体感型ゲームの制作、プロデュースをする株式会社ハレガケ(謎解きブランド名「NAZO×NAZO劇団」)。直近の5年間で300本以上と、制作実績は業界トップクラス。リアルやオンラインのイベント制作にとどまらず、自社商品開発や企業向けサービスを幅広く展開しています。

 

謎解き市場をけん引してきた同社の事業内容や今後の展望などを、プランニングディレクターの鶴見佑介氏に伺いました。

                                
●謎解きの魅力に着目し、主人公体験のできる体験型ゲームを展開
謎解きプラス
ホームページには商業施設、テーマパーク、電車、城、商店街、街まるごとなど、これまでに手掛けた謎解きゲームの事例がズラリ掲載されている(ハレガケが運営する事業サイト「謎解きプラス」より)

株式会社ハレガケは、2013年11月に現・代表取締役の黒田洋介氏が起業した会社です。起業する前から楽しく学べる方法を提案したいと、若手社会人向けにゲーム形式の学習イベントを開催していた黒田氏。イベントを企画するなかで、自分自身で考え、動き、ゲームを進めるなど、参加者自身が主人公になる要素が強い“謎解き”に強く惹かれ、謎解きゲームを主軸とした事業を立ち上げたといいます。

 

「社名は、お祭りという意味がある“ハレ”と、日常を意味する“ケ”に由来し、『お祭り(ハレ)が日常(ケ)』になるという意味が込められています。我々が大事にしているのは“主人公体験”。体感型のゲームを通じて、参加者自らが頭と体を使い、物語を動かしていき、主人公として活躍できる舞台作りを目指しています」(鶴見氏、以下コメントすべて同)

 

都内のバーや居酒屋を貸し切って謎解きイベントを実施するところからスタートしたハレガケは、1年後には横浜大さん橋国際客船ターミナルやよこはま動物園ズーラシアで開催するなど、徐々に法人向けへと事業を展開。全国統一のイベントなども手がけ、東京と大阪が中心だった事業エリアは、今や日本全国に拡大しています。

●謎のクオリティに自信!周遊型に加え、社内向け懇親会イベントも好調
謎解きイベントイメージ
謎解きイベント
謎解きイベントチラシイメージ
周遊型の謎解きゲームは紙のパンフレットやWEBを使い会場を巡りながら、謎を解いていく。全国で順次開催されているもの、毎年恒例のもの、謎解きゲームを常設するスポットもある
イベントの様子
WEBでの社内向け懇親会イベントの様子。グループで協力して謎解きにチャレンジするので、自然とコミュニケーションが深まる

ハレガケが事業の主軸とするのが、周遊型の謎解きゲームです。

「参加者が紙のパンフレットやWEBを使って、会場や街を巡りながら謎解きを行うパターンのゲームです。商業施設や観光スポットなどで、集客や周遊の仕掛けとして導入されるケースが多いですね。当社ではゲームのシナリオを一から作るので、参加者を行かせたいところに行かせる、見せたいものを見せることが可能。その場所の魅力や歴史を来訪者にしっかり伝え、理解度促進やブランディングにもつながります」

 

全国展開している商業施設で開催したゴールデンウイークイベントでは、7日間で7000人以上が参加した事例も。葛飾柴又寅さん記念館では、映画『男はつらいよ』の世界を楽しみながら参加できる謎解きゲームを常設。そのほか、全国各地の城、電車、空港など、あらゆる場所が謎解きゲームの舞台となり、地域活性化にも一役買っています。

 

そしてもうひとつの軸として、社内向け懇親会イベントも展開しています。

「社内向け懇親会イベントは、グループで協力して謎解きにチャレンジするので、コミュニケーション活性やチームビルディング効果が期待できます。会社が社員に伝えたいことを謎解きのストーリーに入れ込むことができるので、メッセージが伝わりやすいというメリットもあり、さまざまな企業の研修、部署内交流会、忘年会などに幅広く活用していただいています」

 

コロナ禍の影響を伺うと、周遊型は一時期減ったものの、その分、社内向け懇親会イベントが増加し、謎解きゲームのニーズは衰えていないといいます。

 

「以前からオンライン対応を進めていたので、2020年5月という早い段階でオンライン版をスタートすることができました。コロナ前と比べると問い合わせは約5倍に増え、リモートワーク企業の課題であるコミュニケーション不足解消を目的に利用が拡大。ウィズコロナにも慣れてきた昨今は、リアル開催の社内懇親会ニーズが増えてきています。

 

周遊型、社内向け懇親会イベントともにクライアントのリピート利用率は高く、謎解きイベントの質を決める問題制作力はもちろん、参加者に合わせた難易度の調整やクリアまでのプレイタイム調整など対応力にも自信があります」

●東京には企画力向上をバックアップする恵まれた環境がある
サービス
謎解きと掛け合わせたさまざまなサービスを提供。スマートフォンを使い、物語の中の登場人物と通話やチャットができるサービスも登場している

ハレガケは、JR山手線の高田馬場駅を最寄りとするビルに本社を構えます。2018年に池袋の前オフィスから移転した2つ目のオフィスです。

 

「豊島区を選んだのは、起業時のメンバーの活動エリアだったことが主な理由です。実は、謎解きゲームを企画・提供する同人グループやそこから法人化した会社は、日本各地に多数あります。そのなかで当社が全国展開するまでに成長できたのは、イベント数の多い東京で実績を重ねたからと言えるでしょう」

 

現在社員は25名。営業職以外は基本的にリモートワークで、出社が必要なのは月に1回、社員全員が集まる日だけ。それでも、立地や環境にメリットを感じることは多いといいます。

 

「一番のメリットは、最新のエンタメ情報にアクセスしやすいことでしょう。ゲームはもとより、映画、音楽、アート、演劇、アニメーション、アイドルまで、あらゆるエンターテインメントが集結している東京は、クリエイティブな刺激が満載です。新しいワクワク感を生み出していくためには、これ以上ない環境だと思います。また、東京には当社と類似の企業や競合企業も多く、都内で開催されるイベント数も圧倒的に多いため現地調査がしやすいですね。イベントの内容や参加者の動向など、そこで得た情報を自社の企画のクオリティ向上に役立てられるのもアドバテージだと感じています。

 

二番目のメリットは、交通アクセスの良さ。クライアントの多くは都内にあるため、対面でのプレゼンや打ち合わせがしやすいです。イベントは全国で開催されていますから、羽田から各地へ飛行機の便が充実しているのも便利。我々が全国を視野に活動できるのは、このフットワークの軽さがあればこそだと思います」

 

もうひとつ挙がったのは、人材面のメリットです。日本中から人材が集まってくる東京は、社員構成にも多様性が得られ、よりクリエイティブな会社を目指せるとのこと。実際、ハレガケには首都圏以外から転職してきたメンバーも多く、さまざまなバックグランドを持つメンバーがお互いに刺激し合いながら業務に取り組んでいます。

 

最後に今後の課題と展望を伺いました。

「謎解きゲームが浸透したこれからは、当社を選んでもらえるような強みが必要になると思っています。社内イベント系をさらに伸ばして地盤を固め、次のステップにつなげたいですね。例えば、今取り組んでいる『SDGs×謎解き』など、学びを掛け合わせたものをどんどんやっていきたい。また、時代に合わせた謎解きゲームを作っていくことも課題です。将来は、メタバース空間を舞台にしたイベント“ナゾバース”も事業の柱になればと考えています」

取材日:2022年(令和4年)11月9日(取材時は、説明者は説明時のみマスクを外し、取材スタッフはマスク着用しております。)

【企業概要】
  • 会社名:株式会社ハレガケ
  • 住所:東京都豊島区高田3-21-2
    ユニハイト東京ビル4階
  • 代表者:代表取締役 黒田洋介
  • 設立:2013年(平成)25年)11月22日
  • 事業内容:体験型イベント・リアル謎解きゲームの企画制作・運営
  •                                                     
    ホームページ:https://www.haregake.com/
    サービスのご相談はこちら:https://nazotoki-plus.com/