ico_img立地企業事例:株式会社有明電装(東京都青梅市)

計測器から無機ELまで、幅広く手掛ける
あくまでも手作業にこだわり、品質を磨く

黒田社長
「ここまで人に恵まれた。自分は運が良い」と語る黒田社長

手作業にこだわり、長く使える製品を。そんな思いを込めた製品を世に生み出している企業が有明電装だ。同社は計測機器の製造を出発点に、現在では無機ELの製造など幅広く事業を手掛ける。機械化が進展する中、「日本製の手作業」にこだわる姿勢はむしろ光を放っている。

 

有明電装は1974年にティアックの協力を得て創業した。当時はティアックの主力製品であったデータレコーダなどの計測機器の組み立てと生産を担い、認定工場にも指定された。同社の黒田睦生社長「作った分だけ売れた。手作業で正確かつ、納期通りに作ることが最大の付加価値になっていた」と当時を振り返る。だが、オイルショックやアナログからデジタルへの価値転換もあり、同社への依頼も減少していった。「計測機器の『一本足』では今後生き残っていけない」と取り扱う製品の多角化を決意した。

● 付加価値は価格ではなく、長く使えること
社屋(青梅市)
2017年に現在の社屋(青梅市)が完成した

そこで生まれたのが、「日本製」を売りにした変圧器だ。変圧器は機械による大量生産を行い、価格を下げたものが主流。そのため生産コストが低い海外製が主流だった。黒田社長は「壊れやすい消耗品としての製品が多かった。だからこそ、長く使える日本製を売りにすればチャンスがあるのではと感じた」と話す。発売当時は黒田社長自ら、購入した顧客に意見を聞くなど、試行錯誤を繰り返したという。

 

事業の多角化と同時に進めたのが本社のあった立川からの移転だ。「同じくらいの家賃なら広い方がいい」(黒田社長)とたどり着いたのが今の青梅市。黒田社長は「青梅市は製造業を応援してくれる土地。こちらに来てから、技術や製品に対する補助金など様々な支援を受けた」と話す。

 

何よりも大きかったのは人とのつながりだという。「この周りは同じような製造業が多く、同業者の集まりから自社の業務に活かせた。金融機関との関係性もでき、融資が受けやすくなった」とメリットを強調する。

● 無機EL、イルミネーションにも応用
バラ、花びらを無機ELで装飾
アーティスト作品のバラ、花びらを無機ELで装飾した。

現在同社が力を入れるのは無機ELの製造・開発だ。ELと言えば、広く知られているのはテレビなどのディスプレイに使われる有機EL。有機ELと無機ELの最大の違いは価格にある。無機ELは発光する蛍光層を印刷し製造するためコストが安くなる。同社で無機ELを担当する秋山秀一さんは「単純に物を光らせるのであれば、有機よりも光彩が強く価格も安い」と強みを話す。

 

ただ、国内で手掛ける企業は少ない。無機ELは性質上壊れやすく、買い替えのスピードが早い。そのため、国内で使用されている物の多くは製造コストの安い海外製だ。黒田社長は「他のメーカーはEL部分と電源部分を買い付け、組み合わせている。相性が良くないからすぐに壊れてしまう」と話す。その中で、同社製品の強みは耐久性だ。変圧器同様に「長く使ってもらう」ことを付加価値にした。創業当時の事業である計測機器の生産ノウハウを活かし、ELに合った電源を開発し、組み合わせることで耐久性を向上させた。

 

 

                                  

同社の無機ELを使用した避難誘導標識は青梅市のほか、多くの自治体で設置されている。他社製品であれば、2カ月ほどで買い替えなければいけないこともあるというが、「点検期間の5年を超えても不具合が出たことがない」(黒田社長)と品質への自信を口にする。それ以外にもバラのフラワーアーティスト作品をELで光らせるイルミネーションへの応用、舞台芸術とのコラボによって無機ELの用途を広げていく取り組みを進めている。

● 未来への種まき
新分野へ踏み出す
手作業での生産を重要視しながら、新分野へ踏み出す

2020年は新型コロナウイルスの流行により、多くの中小企業で業績への影響が出た。それでも同社は「業績への影響が少なかった」という。だからこそ、黒田社長は「今後の当社の方向性を決定するため、今こそ勝負時だ」と力を込める。EL分野ではイルミネーションなどイベント再開に向け、発光できる色を増やす改良を進めている。最も注力するのは電源の軽量化だ。無機ELの電源がかさばるため、これまで衣服など人が触れるものや、野外に設置するオブジェには不向きだった。電源の軽量化は無機EL普及に不可欠だ。黒田社長は「(品質のために)できるだけ手作業にこだわっていきたい」と語り、これまでの技術と新分野への挑戦をかけ合わせていく。多摩地区で生まれた光があなたの街を照らす日が来るかもしれない。

取材日:2021年(令和3年)1月12日

【会社概要】
  • 会社名:株式会社有明電装
  • 住所:東京都青梅市今井3丁目7番26
  • 代表者:代表取締役社長 黒田 睦生
    (熊本県山都町出身)
  • 設立:1974(昭和49年)
  • 業種:電子機器開発、製造、販売、
    無機ELの企画開発、製造、販売
  • 土地:620平米、建物:1092平米
  • ホームページ:https://www.ariake-d.co.jp/index.php