立地企業事例:株式会社不二製作所(東京都江戸川区) |
■ | 多様なモノづくり支える「エアーブラスト」顧客に寄り添う技術開発で新たな価値を創出 |
エアーブラスト装置で国内トップクラスのシェアを誇る不二製作所。
1950年の創業以来、東京都江戸川区を拠点に意欲的に技術開発を続け、ブラストがもたらす可能性を切り拓いてきた。
エアーブラストは、細かい粒子(研磨材)を圧縮空気とともに高速で噴き付け、対象物の表面を改質する加工法。金属製品や樹脂製品のバリ取りなどに使われるほか、メッキや塗装などの前処理、クリーニング、精密加工、表面改質など幅広い加工ができる。自動車部品や航空機体、電子基盤、建築部材など、多様な素材・工業製品に活用され、モノづくりを支える技術の一つだ。
同社は1957年に日本初のキャビネット型ブラスト装置を開発した。吹き付けた研磨材を、密閉空間内で回収・循環利用する仕組みの専用機を世に出し、肺病の原因にもなる粉じんの問題を解消。これまで敬遠されていたブラスト技術が見直されるきっかけになった。
ブラスト装置の大半は、顧客の用途に応じて一品ごとに製造することがほとんど。セラミックやガラス、金属など粒径2000ミクロン(2ミリメートル)~1ミクロン(0.001ミリメートル)の400種類以上の研磨材に、噴射方式・圧力・噴射量といった装置の機能条件を設定。さらにはワークの形状や加工部位などにも考慮し、オーダーメードで設計開発を行う。
弾力性のあるメディア(研磨材)を噴射することで金属の鏡面仕上げができるブラスト加工「シリウスZ」や、大型部材などをブラスト加工する際に風力で研磨材を循環回収できる「大型ブラストルーム」など、独自の技術で様々な用途・加工に対応する。多様な顧客ニーズに応えるための技術開発に取り組み、専業メーカーとして力を高めてきた。
杉山博己社長は、不二製作所が立地する東京を「人と情報が集まる街」と表現する。開発・生産機能が集まる本社工場には顧客や専門家が頻繁に訪れ、試作加工や商談などが盛んに行われる。船堀駅からほど近い本社工場は主要な駅からアクセスが良く、「首都圏からの来訪者に加え、地方からも訪問しやすい」と語る。
都内への就職希望者は多く、採用面でもメリットがあるという。一品一様の装置を扱うことから「繰り返し作業の中では得られない〝気づき〟が当社のモノづくりには重要」と語る。開発を支えるのは技術者のアイデアであり、その源泉は人だ。また、顧客との交流で得たニーズはアイデアの種となり、そこから新たな製品や技術が生み出される。東京に集まる多様な人材と情報は、同社の成長を支える基盤となっている。
(※1)2020年12月に増改築した本社工場の新社屋。ステンレス製の壁面・柱には、特殊なブラスト加工が施されている。
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会社名: 株式会社不二製作所 -
住所: 東京都江戸川区松江5-2-24 -
代表者: 代表取締役社長 杉山 博己
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設立: 1959年(昭和34年)[創業1950年] -
業種: エアーブラスト装置の設計・製造・販売、消耗部品販売、ブラスト装置の修理、各種研磨材の販売 -
土地: 12,794平米 -
建物: 39,322平米
都内の工場のみ。そのほか茨城県、愛知県等にも拠点あり -
ホームページ: https://www.fujimfg.co.jp/