立地企業事例:株式会社須藤精密(東京都西多摩郡瑞穂町)

精密加工にこだわり続け、顧客の信頼得る
半導体製造装置の治工具づくりで実績積む

事業継承も万全。須藤恒男会長(右)、八幡直幸社長(左)

微細で精緻なモノづくりは、日本のお家芸。そのワザを極めて、数十μm(μ=マイクロは100万分の1)オーダーの微細穴加工をはじめとする高精度・高品質のモノづくりで実績を積み上げているのが須藤精密だ。とくに、半導体製造装置関連の治工具製造で定評があり、顧客の厚い信頼を獲得している。「社名に製作所と付いていないのは、創業時から精密加工にこだわったため」(須藤恒男会長)との思いを昭和、平成と持ち続け、見事、名が体を表す企業となって、令和の新時代を迎えている。

「2000年代の半導体不況や、
リーマンショックも乗り越えてきた」と語る須藤会長

須藤精密は1973年(昭和48年)に現会長の須藤氏が33歳の若さで設立した。設立後すぐに日立製作所の協力工場となり、日立関連の半導体製造装置の治工具や部品の製造を主力事業として立ち上がった。その後、半導体業界の相次ぐ合従連衡に伴い、顧客企業の名称や納入先は大きく変わっていくが、事業領域は設立当初からほとんど不変。半導体製造装置関連の市場を耕し続けている。

同社は納入先工場の関係などから、創業の地、板橋区から立川市、東大和市、東村山市と移転を繰り返し、現在の本社および工場を構える瑞穂町には1997年(平成9年)に移った。須藤会長は「手ごろな土地が見つからず途方に暮れた時もあったが、たまたま、高校時代の恩師の知り合いで弁護士の先生が一緒に探してくれたおかげで、いい土地に巡り合えた。人の縁がいかに大切かを痛感した」と、20年余り前の瑞穂町移転を振り返る。 現在は「圏央道が開通し物流の面でも便利になった」とも語る。

● 新鋭機+職人技の組み合わせ
左手が本社・工場。右奥が2018年に竣工した新工場

同社本社工場には、マシニングセンター、小径微細加工機、放電加工機、CNC(コンピューター数値制御)旋盤、各種溶接機、フライス盤、ボール盤など、さまざまな工作機械が所狭しと並んでいる。その多くが新鋭機で、「良い仕事は、良いマシンから」と、設備投資に力を入れる同社の姿勢がうかがえる。

八幡直幸社長は「東京都中小企業振興公社をはじめとする公的機関の補助金に助けられている。われわれ中小企業にとって、補助金制度は本当にありがたい」と、設備投資の背景を説明する。2018年(平成30年)12月には410平米の2階建ての新工場を本社横に新設した。クリーンルームを常設した新工場は、新規需要に対応できるよう余裕がある造りだ。

半導体製造装置で使われる、微細穴加工を得意とする

ところで、機械化、自動化がいくら進んでも、人手に頼る工程が無くならないと言われるのが微細・精密加工の領域だ。須藤精密でもしかりで、例えば、微細な穴にピンを入れる作業は機械化が難しく、職人技でしか対応できないという。その作業に従事しているのは「技能五輪クラスのベテラン。日立の工場で働いていた人をスカウトした」(須藤会長)。

同社の工場内を見渡すと、確かに、60代、70代のベテラン勢が目に付く。その一方で、20代、30代も少なくない。「近くの青梅ハローワークの求人活動で、いい若手を採用できている。社員のほとんどは車か自転車で通勤している」(同)と、西多摩地区でのリクルーティングが成果を上げている。

同社を訪ねた時、工場入り口の扉に張り紙が出ていた。「今日はバーベキューパーティの日。寿司職人も来ます!」。こうした社内イベントが、社員の融和を図り、一人ひとりのやる気を引き出すのに大いに貢献しているのは間違いない。

●会長、社長の二人三脚で新市場を開拓
「ベテランの技を若い社員に確実に引き継ぎたい」と語る八幡社長

八幡社長は、会長の女婿で、もともとは精密機器メーカーに勤め設計業務に就いていた。須藤精密に入社したことで「図面を引いて作ってもらう立場から、もらった図面でモノを作る立場に変わった」(八幡社長)と、立ち位置こそ変わったが、勝手知ったる世界で存分に力を発揮している。

2017年(平成29年)に社長に就任した。社長業への備えとして、立教大学大学院で学び、2015年(平成27年)にMBA(経営学修士)を取得している。「たくさんの経営者の話を聞くなどで本当に勉強になった。一番印象深いのは、経営に答え、正解はないという教え」と述懐する。

八幡社長は、現在、自社が抱えている経営課題として、好不況の波が大きい半導体産業への依存度が高いことを挙げる。そこで「医療をはじめ、半導体以外の分野に力を入れていく。多摩地域には、研究所が多くあるのでマッチングの場などチャンスがあれば」と新市場の開拓に意欲を見せている。

医療分野への進出に向けては、須藤会長も培った人脈をフル活用し、情報収集やコネクションづくりに励んでいる。会長、社長の二人三脚で、同社をさらなる高みに導こうとしている。

取材日:2019年(令和元年)10月3日

【会社概要】
  • 会社名:株式会社須藤精密
  • 住所:東京都西多摩郡瑞穂町殿ヶ谷552-6
  • 代表者:代表取締役会長 須藤 恒男 氏
    代表取締役社長 八幡 直幸 氏
  • 設立:1973年(昭和48年)
  • 業種:精密加工業
  • 土地:1150平米、建物:1092平米
  • ホームページ:http://www.sudo-precise.co.jp/
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